リストバンド
そんなザキ犬をうまくかわしながら用件を求める。
「チィは俺にあだ名つけてくれないの?」
「…つけてほしいの?」
「うん♪」
そう言って返事をまつ様子はまさに犬。
仕方なくあだ名を考える。
とはいえ、名前を知らない私があだ名なんてつけられるはずもなくて…。
失礼を承知で名前を聞くことにした。
「あの…ザキさん」
「ん?」
「ザキさんの名前って何でしたっけ」
あははと笑ってごまかしながらきくと明らかにショックをうけているザキさん。
振っていた尻尾もだらんと下がった…ような気がした。
「チィ酷くないすか」
「あはは、すみません」
「…仕方ねーなぁ。矢崎晃一ってゆーの。覚えた?」
「うん」
ヤザキ コーイチ。
あぁ、だからザキさんか。
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