【短編】THE EXPRESS
『愛されたい』
『愛してほしい』
それだけじゃどうにもならない。だけど
私はケンヤくんの事好きなんだから、ちょっとぐらい好きになってくれても、別にいいと思う。
もっと近くに行きたいけど、拒否されるのは怖くて。
だから遠くにいるけど、それも本当はすごく辛くて。
この想いが君に全て伝わって、君が私と同じ気持ちでいてくれたらいいんだけど。
だけど世界はそう簡単には行かないのを私は知っているから。
だから今は我慢する。
《ただいま駒込、駒込。お出口は……》
着いたみたいだ。
私は電車を降りた。
歩きだそうとしたけど、なぜか体がなかなか動かない。
……涙が出て来た。
なんともないはずなのに。
私、いつからこんなに泣き虫だった?
私、いつからこんなに欲張りだった?
あぁ……私は本当に『恋』してしまった。