【短編】THE EXPRESS
次の日。
久しぶりに放送室に来た。
拒否されてからずっと来てなかったから、すごく懐かしい。
……そう言えばこの景色が好きだった。
放送室の窓から見える校庭。
私は、CDケースからCDを出して放送し始めた。
「あっ…何これ?」
手紙が中にはいってたみたい。
私は『シホちゃんへ』と書いてあるのを確認すると、手紙を広げた。
私の目から、涙が流れた。
『ケンヤです』
何を書いたらいいか本当はよくわからないんだけど。
手紙なんてすごく女々しいと思う。
だけど、伝える手段がこれしかなかったから……。
本当、ごめん。
謝ってもしょうがないかもしれないけど、シホちゃんには誤解してほしくないから。
伝えたい事がありすぎて難しい。
例えばこれを“恋”って言うのかな。
……だから、本当にありがとう。
『シホちゃんへ』