【短編】THE EXPRESS





次の日。
久しぶりに放送室に来た。

拒否されてからずっと来てなかったから、すごく懐かしい。


……そう言えばこの景色が好きだった。

放送室の窓から見える校庭。


私は、CDケースからCDを出して放送し始めた。



「あっ…何これ?」



手紙が中にはいってたみたい。

私は『シホちゃんへ』と書いてあるのを確認すると、手紙を広げた。





私の目から、涙が流れた。




『ケンヤです』

何を書いたらいいか本当はよくわからないんだけど。

手紙なんてすごく女々しいと思う。

だけど、伝える手段がこれしかなかったから……。


本当、ごめん。

謝ってもしょうがないかもしれないけど、シホちゃんには誤解してほしくないから。

伝えたい事がありすぎて難しい。

例えばこれを“恋”って言うのかな。

……だから、本当にありがとう。

『シホちゃんへ』






< 19 / 21 >

この作品をシェア

pagetop