【短編】THE EXPRESS
「じゃあ、行こうか」
「えっ……」
――ギュッ
彼は私の手を掴んで駅の中に走って行った。昨日の私じゃ、こんなこと想像できなかった。
なんか、今日は急展開だ。
この手から、私の気持ちが伝わりそうで、すごく怖い。
だけど、伝わればいいなとも思う。
「はいっ、着いた」
「ふぁー……」
すごいなって思った。
なんか、難しそうな機械がある。
なんかCDもあるみたい。
「ここから、駅内に音楽を流すんだ。なんかかけてみる?」
「え、いいの?」
「うん。どーぞ。親父の仕事が上手く行かないせいだしね」
「え…そんな事ないよ」
「まぁまぁ、早く見て」