【短編】THE EXPRESS
私は言われるがままに、CDの棚に手をかけた。
知ってる曲があった。
“A列車で行こう”とか“ディスコパーティー”。
この2つは放課後によく流れしてる。
だけど一つ……。
気になる棚があった。
“THE EXPRESS”
そう書いてあった。
「ケンヤくん、これ何?」
「ああ……これ、親父の趣味なんだ。
ここらへんにあるCD聞いて駅員になったらしい。」
「ふーん……あ」
「ん?どーした?」
「“ザ グレーシア エクスプレス”ってなんか、いい名前……」
「それね、俺もいいなって思った。笹木さん、こうゆう曲に興味あるの?」
「いや…放課後に学校で流してるんです」
「へー……」
ケンヤくんはこっちを不思議そうに見て、意味ありげに笑った。
……っていうか、私『ケンヤくん』って呼んでていいのかな。
「え?シホって呼んでいいの?」
「っ…?!声に出てましたか?」
「うん」