レンズのその先に【完】
そんな呑気な分析をしていたから、男の顔が正面を向いてることにも、あたしと視線が合っていることにもなかなか気付けなくて…。
「そんなに食べたい?俺?」
そう笑いを堪えながら細める男の目を一瞬で逸らしたのは、言うまでもない。
結局、あたしが頼んだのはカルボナーラで、男はかわいらしいオムライスを頼んでいた。
「学生?」
『いや…この春から社会人で』
「俺の1つ下だな。俺昔この街に住んでてさ、社会人になって戻ってきたわけ」
『はぁ…』