レンズのその先に【完】
「似たようなの買ってやるよ」
『それ、貰い物なんです』
「なんでそんなに執着すんの」
『貰い物、だからです…』
「俺があげたら同じ“貰い物”だろ?」
『それじゃなきゃ、ダメなんです!あなたから貰ったって、意味、ないんです!』
ああああ…
赤の他人に意味ないとか言っちゃった…
言い終えてすぐに向けられた冷ややかさは、感ぜずにはいられなかった。
返してほしい。
大切な人から貰ったものだから。
大事な思い出がつまっているものだから。
だから絶対に返してほしいのに、思うようには動いてくれない。