レンズのその先に【完】
残されたあたしは、そのあともひたすら彼だけ思い続けて、あの眼鏡を肌身離さず持っていた。
…その眼鏡も取られたままで、あたしと彼を繋ぐものは失くなってしまったけど。
あの男に奪われてしまったのも、仕方のないことで、こうなる運命だったのかもしれない。
気付けば最後にあの男と会ってから2週間が経っていて、今日は4月1日。
脱力感が抜けないまま入社式を迎えることになった。
メニュー