レンズのその先に【完】
そんな入社式もいつの間にか終わっていて。
自分がどうやって1日を終えたのかわからないぐらいだった。
同期の子達となんとなく会話をして別れ、もうそこには家が見える。
さすがにこんな状態で明日からを過ごすわけにはいかない。
お母さんに元気分けてもらおうかな…。
なんて思いながら、少し顔をあげてドアノブを強めに握った。
「佐藤香苗さん」
もう少しでドアが開こうとしたとき、いきなり後ろから自分のフルネームを呼ばれ、頭だけ振り返る。