レンズのその先に【完】

どうしても読みたかったのに。




ポイントを貯めているから、どうしてもこの本屋さんで買いたかったのに。






『はぁ…』






大きくも小さくもないため息をついて、やり切れなさを胸に本屋をあとにする。





ズレた眼鏡を外せば、街をうごめく人波を直視してしまい、慌ててかけ直した。



度の入っていないレンズでも、外界を裸眼で見るよりマシだ。



なんの変哲もないレンズでも、有る無しじゃ気持ちの持ちようが全然違う。





< 2 / 27 >

この作品をシェア

pagetop