レンズのその先に【完】
「ずいぶん早かったね」
『ひ、暇だったもので…』
「昼飯は食べた?」
『いえ、まだ…』
「じゃあココで軽く食べてようよ」
『はぁ…』
たぶん…いや、絶対。
あたしが拒否すればランチなんて一緒にする事なく、用件だけで済んだはず。
ただ、そうできなかったのは、小心者のあたしのせいだけじゃない。
この男の雰囲気が、俯いていたあたしにもわかるくらいの全身から放たれたオーラが、拒否することを許さなかった。