レンズのその先に【完】
「人見知り激しいの?」
『は、はい…』
「なに食べるか決まった?」
そう問われて慌ててメニューを見ようと顔をあげる。
すると嫌でも目の前の男の顔がチラついて…。
手帳に目をやっているのをいいことに、あたしは男を凝視した。
べつにドコにでもいそうなサラリーマン。
まだ新人の営業マンなのかな。
スーツも鞄も、どれもまだ新しく見える。
とは言え、今は3月末。
新人といっても2年目に入る頃だろう。