愛しキミへ、この歌を

頬を撫でる優しい風。


「気持ちいいでしょ?」
また俺の心を覗いたかのように彼女が言う。
彼女は顔の上に手をかざして木漏れ日を見上げると、眩しそうに目を細めた。



「ここにいるといいメロディー浮かんでくるんだよね」
と呟く。



ギターケースを見ると何枚かの譜面が小さく折られて入れられていた。



「作曲するんだ」
口にするつもりなんてなかったのに、いつのまにか言葉が飛び出していた。



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