愛しキミへ、この歌を
ギターケースからさっき俺が見つけた楽譜を取り出すと小さく折られたそれを苦労して広げ俺の前に置く。
楽譜は全部で4枚。
ルーズリーフに五線譜からすべて手書きで記されている。
古いものなのかぐしゃぐしゃで折り目が白く、シャーペンで書かれているのか擦られたようにかすれて読みにくい。
「ファイルにでも入れればいいのに」
呆れて呟くと
「読めればいいの」
しれっと当然のように返される。
そして早く歌えと言いたげに俺をじとっと睨んだ。
しぶしぶまた楽譜に目を落とすと重大なことに気付く。