愛しキミへ、この歌を


気付いたら、自然に音がこぼれ落ちていた。


「…〜〜♪」



そんな自分に戸惑って、けれど今さら止める気にもなれない。



最初は呟くように、しかしだんだんとその声は色を帯び、はっきりと主張しはじめる。



勝手に左手がギターの弦をおさえていることに気づき、俺は小さく笑った。



歌声が教室の中で反響し、その響きが心地よく歌声はさらに大きくなる。



< 5 / 55 >

この作品をシェア

pagetop