愛しキミへ、この歌を

そういえばなぜ彼女は俺の名前を知っているのだろう。同じクラスになったことはないはずだ。
俺が腑に落ちない表情をしていると、それを感じとったのか彼女は不思議そうに「どうしたの?」と聞いてきた。


「…なんで俺の名前知ってるんだろうなって」と答える。


「晴樹くんって梨花の隣の席だよね?いつも会うから覚えちゃった」
梨花とは部活が一緒なんだ、と彼女は説明した。



なんだそういうことか。
目線の行き場に困って無意識に彼女の手を見つめた。


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