誰かが奏でる旋律(ストーリー)【短編集】

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「わぁ、雪だ! 寒いはずだよね!」

 カーテンを開けると、一面が雪景色だった。


 クリスマスの朝。

 私は、彼氏とデート!

 楽しみだなぁ。

 この日のためにバイトしてクリスマスプレゼント買ったもんね!

 定番だけど、お揃いのロザリオのネックレス。

 喜んでくれるかなぁ。


 〜♪〜♪


 あ、ケータイが鳴ってる!彼からかな?

「もしもし?」

『もしもし? マネージャーの畑中です』


 なぁんだ……


「なんですかぁ? 今日はオフでしょ?」

『それが、急な生放送が入っちゃって……午前中で終わるから、すぐに準備して!今から家に迎えにいくから!』

「ちょっ、ちょっ!ちょっと待って!!」

 プツリ。

 …………おのれ、生放送。

 うそ〜〜〜ん!デートがぁ〜〜


 と、落ち込んでいたら、また電話が………

「ふぁい……?」

『なんだ? まだ寝ぼけてんのか?』

 わ、彼だ!

「う、うぅん! お、おはよ!」

『おはよ。準備できてる? 今から迎えに行こうと思うんだけど………』

「じ、実は……そ、それが〜〜〜」


 私は彼に事情を説明した。

 すると、彼は何でもないことのように、笑いとばしてくれた。

『気にするなよ。急な仕事じゃ仕方ないって、それに午前中には終わるんだろ? クリスマスデートは午後から行こうぜ』

「お、怒ってない?」

『全然』

「ホント?」

『おう!生放送なんだろ? テレビで、歌ってるところ観てるよ』

「………うん!」

 彼との電話が、優しく切れた。

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