誰かが奏でる旋律(ストーリー)【短編集】
 しんしんと降りしきる白い雪が、私の頭や肩に積もっていく。


 もう、何時間ここにいるだろう?


 彼は何時間いたんだろう?


 彼の遺体はもうここにはない。


 私が来たときには警察がとっくに運んでいっていた。


 代わりにあるのは誰かが置いているペットボトルの水や花。


 彼への手向けのつもりかな?


 でも、なんで彼が死体に?


 わからない………


 もう、何が何だか、わからなくなってきちゃったよ………


 でも、ただ一つわかるのは………


 彼が、もういないという

 現実………


 そう思った時、


 目に涙が溢れてきた。


(いや……泣きたくない………)


 泣いたら、彼の死を受け入れるようだから……


 でも、やっぱり我慢できなくて!!


 私は、声が枯れるまで泣いた………


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