悲恋‐幼い恋‐
そして、悲しみ。
中傷
あたしと弘樹は家に帰された。
みんなより1日早い帰還だ。
先生の運転する車で
弘樹と一緒に帰った。
会話がない……。
先生がいるから、しょうがないけど…。
あたし今すごく不安なんだよ??
ほんとは抱き締めてほしいの…。
不安になんかならないくらいに…。
それとも、あたし達付き合ってないから、抱き締めるなんて考えられないのかな?
それでも、あたしは抱き締めてほしいよ……。
ピルルル… ピルルル…
静かな車内に先生の携帯が鳴り響く。
「はい、えぇ、はいそうですが」
先生は誰かと話してる。
「はい、えぇ!!!?
本当ですか!?
はい、分かりました。
では、折り返し……」
先生の事務的な会話を聞いていると、あたしの頭にはある小さな仮説が出来ていた。
もしかしたら………。
「さっき、瞭良が目を覚ましたそうだ」
……やっぱり!!!!
「よ、かったぁ…」
あたしの情けない声が
口から零れた。
「弘樹!!よかったね…あたし達…」
殺人を犯さないで済んだんだ…!!
「瑠実……!!」
あたしのからだは弘樹の腕の中にあった。