悲恋‐幼い恋‐
「俺、俺………」
弘樹が泣いてる。
声を押し殺して…
「弘樹…?
泣いてんの???」
弘樹の顔が見たくて、
離れようとした。
でも、また弘樹の腕の中に戻される。
さっきより強い力で…
あたしの存在を確かめるみたいに…。
「弘樹、顔見せてよ…」
「やだね。見んなバカ瑠実」
“バカ瑠実”
「へへ…いつもの弘樹だ…」
あたし達、前みたいに幸せでいられるよね…?
弘樹がいてくれるなら、あたしもうなにも望まないよ…。
「弘樹、また一緒にいてくれる……??」
「当たり前だし」
「強がり」
「瑠実には負けるし」
「ばーか」
あたしは幸せで
頬が緩んだ。
……いつまでも、この幸せが続くよね、弘樹。
あたしはこの気持ちに迷いなんてないよ。
弘樹も、そうだといいな……。