レインブルー
Act.11『良心の呵責』
Act.11
部屋に入ると、俺が作ったパスタはまったく手をつけていない状態で今朝と位置が変わっていなかった。
俺の説得に観念してか、空腹に耐えられなかったか、一時期は食事を口に運んでくれたが最近になってハンスト再発だ。
七瀬先生は俺に目もくれず、ただどこかを一点に見つめている。
もともと華奢だった体はやせ細り、頬はこけていた。
すっかり乾いた唇は口紅が禿げており、半開きのまま。
透き通るようなブラウンの瞳に以前のような覇気はほとんど感じられない。
もはや生きる屍といってもよかった。
目の前の現実を受け止めきれない俺は七瀬先生から顔を背け、部屋を出た。
呼吸が苦しくなり被っていたマスクを廊下に投げ捨てると、その場に崩れ落ちるようにしゃがみ込んだ。