レインブルー

夜中にも関わらず篠田も黒井と同じく、制服姿だった。

篠田は俺の前を通り過ぎて、白いハイヒールを手に取った。


「これ結構高かったからさ。親に内緒で買ったからここに置いてもらってるの」

「ふ、ふうん…」


曖昧な返事に俺が納得していないと思ったのか篠田は目を光らせた。


「なんか文句でもあるの?」

「いや!あっそれ篠田のか!悪い悪い、黒井の母ちゃんにしては珍しく洒落た靴履いてんなあと思ってさ。なんだ、篠田のか!」

「あたしの親にチクらないでよ」

「あ、ああ」


篠田はどこか苛立っているようだった。

黒井を睨みつけるその顔はどんなに地元で恐れられている俺でも近づけないものがあった。

このふたり、喧嘩でもしてるのか。
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