レインブルー

俺は中を覗く。


「んだあ?お前の家、犬でも飼ってんのか」


すると黒井が俺の視界を遮った。


「…ああ。すげえ暴れン坊でさ世話が焼けるよ」


俺は首を傾げる。


「でもお前、犬嫌いじゃなかったけ」

「あ…」

「そう。あれもあたしの犬。ちょっと預かってもらってるの」


またも篠田が割り込んできた。


「そいや飼ってたっけ」

「うん。フレンチブルドック」

「なんで黒井に預けてんだ」

「今親出かけてて、あたしもさっきまで用事があったからクロに面倒見てもらってたの」


ドンッと二回目の音がして、今度は柱が揺れた。


「気性荒いな。誰かさんに似てて」

「ほっといてよ」

「ちゃんとしつけとけよ」

「はいはい」
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