レインブルー
「涼子!」
七瀬先生のところへ歩み寄ろうとすると、突然クロが目の前に立ちはだかった。
「クロ、邪魔しないで」
「嫌だ!」
クロの肩越しに見えた七瀬先生と目が合う。
彼女の唇は小刻みに震えている。
「篠田さんやめなさい。そんなことをしたらあなた、…どうなるか分かってるの?」
「分かってるよ。人殺しになっちゃうよね。警察に捕まって一生刑務所行きかも」
「だったら…」
「でもそんなの、藤木先生があたしの手に入らない苦しみを味わうより全然マシ」
とあたしがきつく睨みつけると、七瀬先生は返す言葉がないのかごくりと生唾を飲み込んだ。
「涼子」
「どいて、クロ」
「嫌だ」
頑なに拒むクロに、次第に苛立ちが募っていく。
あたしは声を荒げた。
「どいてよ!」