レインブルー
「お前らも行かなくていいのかよ」
振り返るとアキラが立っていた。
誰もいない教室に差しかかる夕日の光でより一層オレンジの髪が際立っている。
俺は何も答えず、窓側の席に腰掛けて涼子と一緒に校庭を見つめていた。
そこではクラスの一人がサプライズと称して提案した手作りの結婚式が行われていた。
ウエディングベルの代わりに放課後のチャイムが鳴り響く中、藤木先生と七瀬先生はフラワーシャワーを浴びながら生徒の歓声に包まれている。
二人はこれまでにない幸せそうな笑顔だった。
「アキラ、ありがとな」
後から聞けば、俺たちの様子を不審に思ったアキラはすぐに藤木先生のところへ相談に行ったそうだ。
そしてあの日藤木先生が俺の家へやって来た。
もし藤木先生があの時来なかったとしたら涼子はどうしてただろうか。
涼子は本当にあのまま七瀬先生を…。
そこまで考えて俺は首を振る。