レインブルー
「昨日の夜海に行ってたんだ」
「うん、知ってる。まだ冷たいのに海に入るっていうからそれで風邪引いたんだって思ってた」
クロは首を横に振った。
聞けば風邪は嘘とのことだった。
七瀬先生が部屋で寝ているから家を出られなかったらしい。
「帰り道に原付走らせてたら事故に合ったんだ」
え、とあたしは思わずクロを見る。
クロは優しく微笑んだ。
「俺は怪我はなかったから大丈夫。それより七瀬先生が」
「事故って人身事故?七瀬先生をぶつけたの?」
「うん。突然飛び出してきて避けられなかった」
クロは淡々と話していたがあたしはとんでもないことに足を突っ込んでしまったんじゃないだろうかと冷や汗が流れた。
「心配すんなよ。七瀬先生に怪我はなかったから。ただ気絶してたから俺の部屋まで運んだんだ」
「でも」
「大丈夫だから」
そう言い切るクロは自分に言い聞かせているかのように見えた。
目に見えなくても頭を打ったとかそういう可能性はある。
それでもクロは頑なに病院へは連れて行かないと聞かなかった。