レインブルー
「とにかくもう一度七瀬先生の様子見に行こう」
とあたしはクロの手をとったけど彼は首を横に振ってここにいる、と言った。
仕方なくあたしはクロを置いて二階に上がる。
一段一段と進む度鼓動が大きくなっていく気がした。
もしも。
もしも。
あたしの頭の中で嫌な想像が膨らんでいく。
死んでたらどうしようとか、あのまま意識不明で起きなかったらどうしようとかそんな事を考えていたらクロの部屋はもう目の前だ。
あたしはクロがやってしまったことは仕方ないと割り切って扉を開けた。
最初に視界に飛び込んできたのはサーフィンボード。
ゆっくりと視線を下にやると、布団から白い足が覗いていた。
さっき見た時と変わらず七瀬先生はすやすやと眠っている。
「七瀬先生」
あたしは恐る恐る七瀬先生に近づいた。
「七瀬先生。篠田涼子だよ。起きて」
七瀬先生の肩を揺さぶったが起きる気配は少しも感じられなかった。
念のため七瀬先生に怪我がないか探してみたけれど、クロの言ってた通り怪我らしき傷はどこにも見当たらなかった。
じゃあ七瀬先生はただ寝ているだけなのだろうか。
でも頭を打って意識不明だってありえる。
どうしよう。
もし。
このまま七瀬先生が起きなかったら。
あたしは一気に不安にかられた。