レインブルー

目の前が真っ暗になった。

あたしは窓の鍵をかけて青色のカーテンを閉めた。

後ろでジャラジャラと金属音がした。

振り返るとクロが七瀬先生の手をとっていた。

細くて白いその腕にクロは手錠をかけた。

あたしはそれをぼんやりと見つめていた。


「涼子」

「うん」

「今何をしてるのか自分でもよく分からない」

「あたしもだよ、クロ」

「俺、自分が怖い」

「あたしもだよ、クロ」


今ならまだ後戻りはできる。

あたしとクロはゆっくりと扉を閉じた。

閉める直前に扉の隙間から七瀬先生の幸せそうな寝顔が見えた。

カチャ、と鍵のかかる音がやけに耳に響いた。

きっとあたしとクロはどうかしてたんだと思う。

だって昔、取り合ってた人形が壊れるまであたしとクロは無我夢中だった。

綿が飛び散るまであたしとクロは理性を失ってた。

あたしのもの。

俺のもの。

独占欲というものはどうしてこうも人を貪欲にするのだろう。
< 31 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop