レインブルー
目の奥が熱くなって涙が次々と溢れてくる。
冷たい雫が銀色に光る指輪に滴り落ちた。
初めて付き合った日に武からもらったその指輪。
毎日身につけていたから薬指には日焼けの跡が残っている。
人目を忍んで二人だけで学校を抜け出して武は真っ赤な顔で私にこの指輪をくれた。
「俺と付き合って下さい七瀬先生」
安物の指輪だけれど私は嬉しかった。
嬉しかったのに。
「来年になったら結婚しよう」
あのプロポーズも泣きたくなるぐらい嬉しかったのに。
すごく嬉しかったのに。
武の馬鹿。
もういっそここで武の馬鹿って叫んでしまいたい。
立ち上がって私は空を仰いだ。
たくさんの星がさんさんと輝いている。
それは綺麗でまるであのダイヤモンドのようにきらきらと。
武はどんな気持ちであのダイヤモンドの指輪を買ったのだろう。
そう思ったらまた泣けてきた。