レインブルー
「クロ」
いつの間にかあたしの手は汗で滲んでいた。
「もう後戻りはできないよ。今逃がしたらどうなるかクロも分かってるよね」
その瞬間、あたしの中で何かが吹っ切れた。
すぐにあたしの気持ちを悟ったクロはうつむいて何かを考えていた。
それからしばらくしてクロは決心したように深く頷いた。
「分かってる。ここまできたら俺たちの目的は何が何でも七瀬先生を外に出さないことだ」
「うん」
震える手を抑えながらあたしは頷いた。
「それと…」
クロがあたしをじっと見つめる。
あたしは首を傾げた。
「それと?」
「涼子。あとはお前次第だから」
どきん、と鼓動が激しく脈打った。