レインブルー
「七瀬先生とは順調ですか?」
藤木先生と目が合った。
「なんだ突然。順調に決まってるだろ。先生をからかうのも大概にしろよ」
そう言って藤木先生は花壇へ目を移す。
「からかってなんかいませんってば。あたし藤木先生と七瀬先生の結婚式見に行くのが楽しみなんですから」
嘘。
本当は結婚式なんか行きたくない。
そんなあたしの本音も知らないで先生は優しく微笑んでいた。
それから、少ししてからのことだ。
「ごめん」
どうしてか藤木先生が小さな声で謝った。
あたしは首を傾げた。
「何で謝るんですか?」
「いや、ちょっとな」
訳が分からないあたしはきょとんとして先生を見上げる。
先生は花壇をじっと見つめたまま静かに呟いた。
「もしかしたら結婚はなかったことになるかもしれない」
ざあ、と柔らかい風が吹いた。