レインブルー


「クロ、何それ」


下へ降りるといつの間にか涼子が居間でくつろいでいる。

俺を見るなり、涼子は笑い転げた。

俺はきょとんとしていると、


「ドンキで買ってきたの?似合うじゃん」


そういえばまだ被ったままだったと俺は慌てて覆面を外した。


「銀行強盗みたい」

「銀行強盗よりタチ悪いけどな」

「言えてる」


このマスクも全ては彼女に俺の顔を見られないため。

俺は長いため息を吐いた。


「どうしたの?」


心配した涼子が俺の顔を覗いてきた。

かすかに海の香りがする。

それは全て順調だということを意味していたが、今のままでは全てが水の泡になる。
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