レインブルー


「どうもこうもないよ。このままだと俺たち殺人犯になっちゃうぜ」

「どういうこと?」

「七瀬先生、ずっと食事に手をつけてないんだ。腹減ってないわけないのに。そりゃいきなり拉致されて犯人が用意した飯なんか食いたくないだろうけど。でもこのままだと七瀬先生が餓死しちまうよ」


扉の隙間から見えた七瀬先生の体は少しやせ細っていた。

そして俺を見る眼差しはひどく冷たいものだった。

それを思い出して、俺はまた一つため息を残し肩を落とす。

よほど情けない顔をしてたのか涼子が突然、俺の頬を強くつねってきた。

返ってきた答えは慰めでもなんでもなく厳しいものだった。


「それをなんとかするのがクロの仕事でしょ」

「でも…」

「でもでも言わない。悩んでる暇あったらすぐ行動」


涼子に背中を押されてしぶしぶ階段を上がる。
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