真夏の深海魚
「ご一緒してもいいですか。」

僕は面食らったが、困惑した胸の中を悟られないように、無表情を装った。

「ええ、どうぞ。」

彼女は僕の向かいに座った。

それから、僕たちは軽く自己紹介した。

彼女の名はユカという。

近くで見ると、ユカはとても魅力的な女の子だということに気づいた。

ボーイッシュな格好をしているが、服のサイズはぴったりで、よく似合っていた。

決して出しゃばらない化粧で、
その表情にもどことなく余裕がある。

彼女は、自分の魅力をわかった上で、それを上手く引き出す方法を知っているように見える。

「一回五万でどう?」
「もちろんホテル代は別ね。」

突然ユカは笑顔で言った。
僕は、何のことかわからなくて、
その言葉が意味するものに気づくのに、
少し時間がかかった。
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