真夏の深海魚
なぜ、彼女と別れなければならなかったのか。
結婚の約束までしていた。
自分の何がいけなかったのか。

彼女はきっと、ずいぶん前から心に決めていたのだろう。

あるいは、他に好きな人でもできたのか。

ただ別れようとだけ言われた。

僕はそれを受け入れた。

なぜ、すんなり受け入れてしまったのか。

あまりにも突然の事だったから、僕は彼女の決心をくつがえすだけの、思いや言葉を持ち合わせていなかった。

以前からお互いの気持ちが離れていたのではないかと言われたら、そうかもしれない。

でも、もうやめよう。

とにかく、僕たちはすでにサヨナラしてしまった。

もうどうにもならないことをあれこれ考えることは、自分自身を息苦しくさせるだけなのだ。

僕は、可能な限り過去よりも未来のことを考えるように努力した。
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