あいつの犬〈短編〉
まあそりゃ、あの時はノリだったんだし当たり前ですよね……
「 どーせお礼してくれんなら…… 」
「 え?何? 」
ニヤリと笑った晴にゾワッと背中に寒気が走る。
怪しく笑いあたしを見下ろしている。
「 俺の言うは絶対聞けよ?拒否権無しな 」
「 わ、分かった 」
今度はメイドになれとか、またキスしろとか、そんな事を言われるんだろうなと思っていた。
全然そんなんで良いんだけど。…………変な意味じゃなくて。
あたしの顎を持ちこっちを見つめる晴はすごくかっこよくて、恥ずかしいんだけど目をそらせなくなった。