あいつの犬〈短編〉
「 俺の女になってくれる? 」
拒否権なんて無いと言った癖に、疑問系であたしに質問をする。
ここで首を横に振ろうと、縦に振ろうとあたしは晴の女なんだろうけど、今は意地なんて張ってられないと思った。
晴があたしを好きなのかとか、これは冗談なのかとかそんな事すら考えられない。
びっくりしすぎて頭の中は真っ白。
ただ1つ分かる事は、あたしは晴が好きなんだって事。それだけ。
「 ……………うん 」
あたしが素直に頷くと、一瞬驚いたような表情をしたけどまたフッと笑って。
あたしに優しくキスをした。