また君に恋をする





気まずい空気。
目さえ合わせない。
アパート下の階段に腰をおろす章大。 
   
「久しぶりやな。」

重たい口を開く章大。
   
「久しぶり。」

作り笑顔。
   


「…よ…う…用事あったんやろ?」



ぎこちない会話。
今の二人の距離が見た目以上に開いていく。
   

「…そうなんやけど…。」


重く塞がった口。
左薬指に光るリング。
   



「何?仁とでも寄り戻したん?」




冗談交じりにぶつける言葉。
   

「…うん…。仁ともう一度やり直そうと思って…。」


那智の口から叩きつけられる言葉。
右から左へ流れていく。
何も頭に入らない章大。
   


「仁が初めからやり直そうって言うてくれてん。せやからもう一度…もう一度だけ仁を信じてみようって思ってん。」



締めつけられる胸。
苦しい胸の痛み。
顔をふせたまま章大。





< 101 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop