また君に恋をする
「お前はそれでええんか?」
顔色を窺うかのように答える。
「那智が選んだことやから…那智が幸せになるんやったらええと思うてる…せやけど何でこんなに苦しいんやろう…。」
俯く章大。
「そんなに好きやったら奪っちゃえばええやん。」
思わず口に出る言葉。
「出来ひんよ。誰かを傷つけてまでの幸せなんて僕はいらへん。」
歪む表情。
「章大…。お前は優しすぎるねん。時には欲をだしてもええやんか。誰かの犠牲にしても欲しいものがあってもええやろう?」
「…。」
顔を上げる章大。
「俺は後悔してるで。あの時、好きやって…俺の彼女やって言うてあげたら良かったって…。伝えたいこと…やりたいこと…いっぱいあってん…。好きやってん…愛しててん…伝えることもう出来ひんねん。あの時、強引にでも空から話を聞いてたら…そしたらあいつを救えてたんやないかって…。」
涙で濡れる忠義の顔。
「…忠義…。」
声にならない声で呟く章大。