また君に恋をする
   






「お前はそれでええんか?」

顔色を窺うかのように答える。
   

「那智が選んだことやから…那智が幸せになるんやったらええと思うてる…せやけど何でこんなに苦しいんやろう…。」


俯く章大。
   



「そんなに好きやったら奪っちゃえばええやん。」



思わず口に出る言葉。
   



「出来ひんよ。誰かを傷つけてまでの幸せなんて僕はいらへん。」




歪む表情。
   


「章大…。お前は優しすぎるねん。時には欲をだしてもええやんか。誰かの犠牲にしても欲しいものがあってもええやろう?」

   
「…。」




顔を上げる章大。
 
  

「俺は後悔してるで。あの時、好きやって…俺の彼女やって言うてあげたら良かったって…。伝えたいこと…やりたいこと…いっぱいあってん…。好きやってん…愛しててん…伝えることもう出来ひんねん。あの時、強引にでも空から話を聞いてたら…そしたらあいつを救えてたんやないかって…。」



涙で濡れる忠義の顔。
   



「…忠義…。」




声にならない声で呟く章大。








< 106 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop