また君に恋をする
秘められた想い
静かな住宅街。
どこからか聞こえてくるピアノの音。
人通りも少なく車が隆平と章大の前を通り過ぎる。
「兄たん。」
車が過ぎ去ると左右も確認せず目の前から走ってくる博貴。
慌てて博貴を抱きかかえる隆平。
「あかんやろ。左右も確認せずに飛び出したら。それに勝手に家から出てきたらあかんっていつも言うてるやろ。」
頭ごなしに叱りつける隆平。
「ごめんちゃい。」
俯きながら隆平にきつく抱きつく博貴。
その場の空気を換えようともち肌の博貴の頬をつっつく。
「大きなったな。もういくつになるん?」
「5歳。」
手で5歳を示すと照れたように章大を見る。
「もう5歳なん?僕等 老ける訳やな。」
苦笑する章大に呆れ顔の隆平。
「おっさんみたいなこというなや。」
「ゆうなや。」
隆平のマネをする博貴を軽くコツく。
舌を出して笑う博貴。