また君に恋をする
「半端な気持ちなんか…。好きだったよ。俺も。あいつに別れ告げられたこと正直堪えてる。」
石を掴むと川に向い思いっきり投げる。
「離れねぇんだよ。あいつの顔が。頭から離れねぇんだよ。」
真っ直ぐ川を見つめたまま。
唇を噛み締める仁。
「後悔するくらいやったら何であの時、那智を追わなかったんや。」
仁の胸倉を掴む章大。
「那智はな。お前のこと好きやってん。お前がどんなに女遊びが激しかろうがお前のこと信じようって思っててん。そんな那智を裏切り続けたんは仁。お前やろ。」
仁の顔を真っ直ぐ見つめる。
「分かってるよ。だから追えなかった。あいつには俺なんかよりいい人がいるんじゃいかって考えたら足が動かなかったんだ。」
章大の手を振り払う仁。
「仁。お前アオやわ。せやけどもう遅いねん。あいつ言うてたで。お前があの時追いかけてさえくれてたら別れひんかったかもって。」
一瞬 曇る表情。
「…。」
言葉を失う仁。
目さえ合わせることの出来ないまま
時間だけが流れる。