また君に恋をする
真っ暗な部屋。
微かな月明かりが部屋に明かりを灯す。
部屋の片隅で震えながら泣く博貴。
「兄たん。兄たん。」
博貴の泣き声だけが部屋に響く。
カチャン。
「博貴どうしたん?」
博貴の泣き声に慌てて扉を開け
部屋の電気をつける隆平。
「兄たん。」
涙でグショグショに濡れた顔。
隆平を見上げる博貴。
「怖い夢でも見たん?」
博貴を抱き上げると
隆平の服をきつく握り締める小さな手。
「…兄たんは…何処も行かん…?」
不安そうな目で隆平を見る。
「行かひんよ。」
博貴の背中を軽く叩く隆平。
「ほんまに?」
「ああ。」
「ほんまに?」
心配そうに隆平をのぞきこむ博貴。
「兄ちゃんが嘘ついたことある?」
首を振る博貴。
「せやろ?大丈夫や。」
博貴をきつく抱きしめる隆平。