また君に恋をする
人ごみをかき分けたる隆平。
「博貴。どうしてん?」
グッタリと担架に横たわる博貴。
額は血で滲んでいる。
「君は?」
担任の一人が隆平の肩に手をかける。
「…兄貴や。」
取り乱す隆平。
「君も一緒に。」
「…はい…。」
放心状態の隆平。
「行けや。」
後ろから押し出す忠義。
「後で連絡してや。」
隆平の手から買い物袋を受け取る。
「わかっとる。」
救急車に乗り込む隆平。
「大丈夫やろうか?」
心配そうに隆平の後姿を見送る章大。
「大丈夫や。」
自分に言い聞かせるように返事をする忠義。
大きなサイレン音。
隆平と博貴を乗せた救急車が遠ざかって行く。