また君に恋をする




誰もいない公園。
街灯の明かりの下ベンチに腰をおろす仁。
   

「飲めや。」


水の入ったペットボトルを差し出す章大。
   



「俺はお前みたいになれねぇよ。」



呟く仁。
ペットボトルの水を一口飲む仁。
   

「僕やってお前みたいになれひんわ。」


仁の横に座る章大。
   
「何でお前はいつも冷静なんだよ。」

喧嘩ごしな言葉。
   


「そう見えるだけや。僕やって必死や。理性保つためにな。」
   
「理性って?お前。」



章大の胸倉を掴む。
   



「那智は何とも思ってひんよ。下心があるうんは僕や。」



両手をあげ降参ポーズをとる章大。
   
「知ってたよ。」

章大から手を離す仁。
   

「知ってた。那智とつき合う前から。」


俯く仁。
   
「そうやろな。殴られたときそう感じたわ。」

口元をさわる章大。
黙り込む仁。
   

「安心せいや。那智は今でもお前のこと好きやで。」
   
「どうだろな。フラれたんだよ。俺。」


遠くを見つめる仁の視線。
黙ったまま時だけが過ぎていく。






< 43 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop