また君に恋をする
流れ行く街並み。
耳につくような雑音。
携帯を握り締め画面を見つめる章大。
液晶には那智の番号が表示されている。
決心したかのように親指でボタンを押す。
プルルル。プルルルル。
鳴り響く呼出音。
「もしもし。」
携帯越しに聞こえる那智の声。
「僕やけど。」
呟くような声。
「あれからどうしたん?」
心配そうな那智。
「色々、話した。那智の心配することなんかあらひんよ。」
「ほんまに?大丈夫だったん?」
目を瞑る章大。
「それはどっちの心配してるん?僕それとも仁?」
凍りつく空気。
一瞬が数分に感じられる。
那智は黙ったまま携帯を強く握り締める。