また君に恋をする




流れ行く街並み。
耳につくような雑音。
携帯を握り締め画面を見つめる章大。
液晶には那智の番号が表示されている。
決心したかのように親指でボタンを押す。





プルルル。プルルルル。
鳴り響く呼出音。
   

「もしもし。」


携帯越しに聞こえる那智の声。
   


「僕やけど。」



呟くような声。
   
「あれからどうしたん?」

心配そうな那智。
   
「色々、話した。那智の心配することなんかあらひんよ。」
   

「ほんまに?大丈夫だったん?」

目を瞑る章大。
   



「それはどっちの心配してるん?僕それとも仁?」




凍りつく空気。
一瞬が数分に感じられる。
那智は黙ったまま携帯を強く握り締める。





< 50 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop