また君に恋をする
「冗談。冗談。」
悪戯に笑う章大の声。
その表情は暗く沈んでいる。
「仁は那智のこと今でも好きやで。せやから…せやから…もう…那智には会わひん。」
震えた声。
「何でなん?仁に何か言われてん?」
驚く那智。
うわずった声。
「ちゃう。仁のせいやない。僕の問題や。」
「どういうこと?」
見隠れする答えの確信に触れる那智。
「那智に下心があってん。仁と別れたって僕を頼って来てくれた時ほんまは嬉しかってん。…嬉かってん…。那智のことが好きやから。最低なやつやろ?」
何も言葉に出来ない那智。
動揺が隠せない。
「せやからもう会わへんほうがええ。ごめん。那智。」
携帯を持つ手が小刻みに震える。
「…何でなん…?…何で…今になっていうん…。」
真っ白の頭。
言葉を探し声にするのがやっとの那智。
「ごめん…那智…ごめんな…。」
謝ることしか出来ない章大。
強引に通信を切断する。
携帯の電源を切る章大。