また君に恋をする







「章大。もう行こう。」


章大の手を掴む隆平。
   
「何でや。」

隆平を見上げる章大。
   


「今は一人にしてやろう。」
   
「一人に。…そんなこと…そんなこと。」
   
「一人にしてやろう。」



章大の言葉を遮り口を開く。
   


「今はどんなに呼びかけたってあいつの耳には届かひん。」



冷静さを保つ隆平。
   

「せやけど。今のあいつはあの時のお前や。」
   
「その俺やから言うてんねん。あいつに必要なんは今は時間や。空ちゃんの死を受け入れるための時間や。」


冷静さが崩れる隆平。
荒い口調。
   
「わかった。」

ボソりと呟く章大。
拳を強く握り締める。
隆平の前を通り過ぎその場を後にする。
その後姿を慌てて追う隆平。





< 74 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop