また君に恋をする
「章大。もう行こう。」
章大の手を掴む隆平。
「何でや。」
隆平を見上げる章大。
「今は一人にしてやろう。」
「一人に。…そんなこと…そんなこと。」
「一人にしてやろう。」
章大の言葉を遮り口を開く。
「今はどんなに呼びかけたってあいつの耳には届かひん。」
冷静さを保つ隆平。
「せやけど。今のあいつはあの時のお前や。」
「その俺やから言うてんねん。あいつに必要なんは今は時間や。空ちゃんの死を受け入れるための時間や。」
冷静さが崩れる隆平。
荒い口調。
「わかった。」
ボソりと呟く章大。
拳を強く握り締める。
隆平の前を通り過ぎその場を後にする。
その後姿を慌てて追う隆平。