また君に恋をする
早歩きでせかせか歩く章大。
不機嫌な表情。
拳をギュッと握りしめる。
その後ろを追いかける隆平。
「章大。」
立ち止まろうとしない章大。
「章大。待ってや。」
章大の肩に手をかける。
「待てって。さっきから何怒ってんねん。」
「べつに。」
不機嫌に答える。
「別にって顔してひんで。」
「怒ってなんかない。ただ…。」
口ごもる章大。
「ただ何ねん。」
「こんなに忠義が辛いのに…苦しいのに…。僕は何もわかってやれひん…そう思ったら…結局、僕は何にも出来ひんのやなって。」
悔しそうに唇を噛む章大。
「そんなことないよ。」
「あるよ。隆平は忠義の気持ちが僕以上にリアルにわかるはずや。僕は隆平にも忠義にも何の力にもなってあげれひん。」
震えた声。
抑えきらない感情が表に出る。
「なってあげられひん…。」
「そんなこと言うなや。あの時、お前が支えてくれひんかったら今の俺はいない。あの時お前等が傍におってくれたから今があるねん。忠義やってそうや。せやから支えてやろう?な?」
頷く章大。
章大の頭をポンポンと軽くタッチする隆平。
「なぁ。僕、博貴とちゃうで。やめてくれひん?その手?」
「あっ。わりぃ。つい?」
苦笑する隆平。
「ついって何ねん。」
隆平を見上げる章大。