また君に恋をする






雨雲に覆われた空。
大粒の涙が地面を濡らす。
地面で跳ね返る水。
一つビニール傘を二人で使う隆平と忠義。
   
「大の男が相合傘ってどうなん?…狭いっちゅねん。」

傘からはみ出た肩を濡らす忠義。
   
「しゃあないやろ。傘一本しかなかってんから。文句言うなや。」

同じく傘からはみ出た肩を濡らす隆平。
   

「そうやけど。ってか那智のやつほんまに仁と別れたん?」


浮かない顔をしていた章大を思い出し隆平へと話を振る忠義。
   

「いつものことなんちゃう。すぐより戻す思うで。」


足早に歩きながら素っ気無く答える隆平。
   
「俺もそう思うわ。章大のやつええように利用されてへんとええけど。」

引き攣った顔の忠義を横にニヤリと口角をあげる隆平。
   

「大丈夫やろ。忠義と違ってしっかりしとるで。」
   
「どういう意味やねん。」


横目で隆平を見る。
   

「こういう意味や。」


傘を持って走り出す隆平。
   

「冷たいわ。濡れるって。っおい。」


慌てて隆平を追いかける忠義。
   
「待てや。」

頭を抑え叫ぶ。
   

「待ったら殺されるやん。」


後ろを振り向くことなく答える隆平。
雨の中、ふざけ合う二人の声だけが存在する。





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