恋愛教師



「せぇんせいっ♪」


相変わらずチャラだか・・・。


なんなんだか・・・。


泰嘉があたしのもとへ寄ってくる。




あたしは、泰嘉への思いを悟られないよう、

懸命に演技をしなくてはならない。



「泰嘉。何ですか?」


誰もいない放課後の教室。


普通の生徒同士だったら

キスでもするのかなぁ・・・。



「先生、あした水辺公園に来てくれねぇ?」


「どうして?」


「ちょっとね。」



明日は土曜日。


あたしが顧問の男子テニス部の練習も丁度休みだった。


しかし、生徒と教師が休日に公園で会っているところでも見られたら


大変なことになる。


泰嘉はもてるし、誰かが見たら即噂になるに違いない。





「ごめんなさい。明日は部活があるの。」



「なんで嘘付くわけ?」


「は?」


「テニス部の野郎から聞いたけどなぁ♪明日は休みだって。」


「はぁ・・・。」


泰嘉に友達が多いことを思い出し、

大きなため息をついた。




「生徒と教師が休日に会うって、どんなことか分かってるの?」



「しぃらねっ♪」


「罪なことに決まってるでしょ。」


「いいじゃん、俺、先生がくびになっても守る自身あるぜっ?」


「駄目なものはダメ!」


「ちっ。つまんねぇ」


「ふぅ・・・。」


あたしは安心のため息をつく。


本当は、休日まで泰嘉に会えるなんてすっごく嬉しいよ。


でもね。生徒と教師の関係を越えちゃいけないんだよ。


そういうこと、泰嘉にも分かって欲しいな。


泰嘉だってモテモテなんだから


あたしなんかよりもっともっと可愛い女子と付き合った方が

幸せになれるよ。




「んじゃぁねっ♪」



泰嘉はスクールバックを肩に担ぎ

教室を出て行った。


< 33 / 42 >

この作品をシェア

pagetop